堺孝行本焼き薄刃包丁危機一髪!!
先日ちょっと変わった刃物マニアの友達の家に遊びに行ったのですが、彼の工房に入ると包丁を持ってグラインダーで削ろうとしていました。
私に気づいた彼は、グラインダーを止めて私のほうにやってきました。
「何してるん?」私が聞くと、
「この包丁切れが悪くなったから、ちょっと削るとこやった」 と答えました。
その包丁を見せてもらうと、何と堺孝行の本焼き薄刃包丁でした・・・でも何カ所かにすでにグラインダーで削った跡があります。
「切れが悪くなったら砥石で研いだらええやん」と私が言うと、
「もうかなり研いでんけどあかんかったからな」と言う返事でした。
見たところグラインダーの傷は浅そうだったので、
「俺このメーカーの包丁好きやから、切れへんねやったらくれへん?」
「あ、ええよ」と言って機嫌よくくれました。
「ところでこの包丁いつごろ買った?」
「それはもう20年ぐらい前かな?!」
20年前ぐらいの堺孝行の本焼きなら、ひょっとしてあの名人の作かなどと考えながら、その日のうちに彼には私のコレクションのうちのZDP189でできた薄刃包丁を届けた所、すごく良く切れると感激して喜んでくれました。
今日時間があったのでこの包丁を研いでみました。
荒砥で研いでいると、かなり切り刃が薄くなっていることに気づきました。
更にグラインダーを当てたところもかなり薄くなっていたので、荒砥はあまり長く当てずに中砥で少しづつ様子を見ながら削っていたのですが、やっぱり刃の先が極端に薄くなっていたので今回は控えめにして、また研いでいるうちにそろえるようにすれば良いと思い、キングG-1で仕上げました。
するとあまりにも鏡面が強すぎ、へこみやグラインダーの跡が目立ち見た目が××
あわてて丸尾山白巣板巣なしと卵色巣板とで表面をぼかしました。
小刃は大突の超硬戸前浅黄で仕上げました!
しばらくこれで使って、少づつ傷を取っていきます。
ところで私の友達ですが、頭がおかしいように思われる方も多いと思いますが、関西でもトップクラスの大学の教授です。
少し・・・いやかなり変わっていますけど。
今日のおまけは、田村山戸前で仕上げた鉋です。
やっぱり鉋の仕上げは田村山が良いですね!