巣板マニアのブログ

危ない奴と思われますが、刃物(主に包丁)と砥石(中でも戸前浅葱)を集めていますので、紹介していきたいと思います。

鍛接の包丁と利器材を使った包丁

いつも巡回させていただいているせいさんの研ぎ好きのブログを拝見してると、コメント欄で割り込み包丁の鍛接と利器材について書かれていました。
故浅井正美氏の包丁が利器材で作られたものであるかもしれないということで、せいさんがなんとなく寂しいと書かれていたのが印象的でした。
私もその気持ちは良くわかります。以前は利器材の包丁なんか型抜きの安物というイメージしかありませんでした。

私の場合はある包丁との出会いがそんな利器材の印象を一変させてくれることになったのです。
やはり包丁といえば堺ということで、堺の和包丁を中心に集めていたのですが普段使う三徳か牛刀が欲しくなり数年前に知人に勧められ三徳包丁を購入しました。
両刃の白二鋼割り込みということで購入したのですが、持ってきてくれた知人から利器材を使ったものだということを聞かされ何だか騙されたような気持ちになり、少し気分が悪かったです。

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態度の変わった私を見て知人は笑いながら
「利器材は使ってるけどホンマにええ包丁やから騙されたと思って使ってみ」
と言いました。更に
「そのままでもある程度は切れるけど、ホンマにこの包丁の力を見たかったら自分で刃付けをせんとあかんけどな」
「絶対オレにええ包丁探してくれたて感謝するぞ!」
と言い残して帰って行きました。

箱から出した状態でトマト、きゅうり、じゃがいもなど手元にあった野菜を切ってみたところ、普通に切れたのですがそんな特別よく切れるという感じはありません。
知人に言われたように改めてシャプトン400、1000、1200で刃先を研ぎ抜き、中山卵色巣板で傷取り後千枚、大突浅黄で刃をつけてみました。
すると今までとは全く違った白鋼らしい切れ味になり、紙、髪の毛はもちろん固定せずに切断できました。
まな板の上に置いたトマトも抑えずに簡単にスライスでき、焼きたてのトーストも熱いまま綺麗な断面で切り分けることができたのです。
しかも使う頻度にもよりますが、かなり永切れするので何ヶ月もとがないこともありました。

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かなり経った頃知人にあの包丁のことを聞かれて、言ったとおりだったと答えると・・・
あの包丁は利器材を使ったただの型抜きではなく、利器材を伝統工芸士が和包丁並みに鍛造したものでそのへんの鍛接した白二鋼の包丁よりもはるかに良く切れると教えてくれました。
このことがあって利器材の包丁の印象は今までとはかなり変わりましたが、普通に販売されている利器材の包丁はやっぱり今でも使う気にはなりません。
この包丁は、ほかに使いたい包丁がたくさん増えてきた今でも時々使っています。

こちらも利器材を使った味方屋の三徳包丁で日野浦睦さん作ですが、やっぱり良く切れます。

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こちらは白二鋼と軟鉄で挟み込み日野浦司さんが鍛接した司作の三徳で、切れ味は最高です。

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こちらは越前浅井正美氏の青紙スーパー鋼の利器材を仕様したペティナイフですが、鋼材の違いもありすごく良く切れます。

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しかし・・・これは丸刃になってきても、刃先はこわくて研げへんやろ~~~~!


追記

かずかずけん師匠の言われる美人の良妻賢母 ファンタスティックな本妻ならコレですね!

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伝統工芸士田中さん鍛造、同じく伝統工芸士森本光一さん刃付けのシノギ無し牛刀
青一鋼を軟鉄で挟んで鍛接しています。


追記2
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今日のお昼は天六のじん田で鰻を食べました。
暑かったですがとても美味しかったです。